夕子へ

 

 

夕子へ

久しぶり 手紙遅くなってごめんなさい

少しだけ忙しくて居ました だけど心配しないで ご飯も沢山食べて とても元気に暮らして居ます

この街にも もう初夏が来たよ ニュースのテレビを見ると 気温の変化に驚くけれど 涼しい風が山から吹いて とても気持ちの良い夜を過ごせます

夕子 東京の暮らしはどうですか

あなたを探しに4月 東京へゆきました その時 あなたの暮らす街を 偶然人から教わったんです

ごめんなさい 知っていました

だけど 今はもうただ あなたが生きていてくれたことが 心から嬉しい

夕子 東京は心細くは有りませんか もうとっくに馴染めたのかな 私たちの故郷のこと もう忘れてしまったかな

私は心細かった 東京は心細かったよ 夕子 

寂しくて堪らない時は どうか此処へ帰って来て

そうしたら また葛切り一緒に食べよう

私は何時も貴女を想いながら 緑濃い初夏の風を感じ 此処に居ます

手紙 長くなっちゃってごめんね

おやすみ夕子 良い夢を

ありがとう

朝子より

 

 

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P.S.1  辻利を名乗る店が多すぎるよ 夕子

 

P.S.2  祇園を名乗る店が多すぎるよ 夕子