まとめ

 

前に載せたかもしらん文章

 

 


泣きながら結婚した絵描きの友人は 独身時代も紙を前に 1日でも描かなければどんどん下手くそになる私はどうしてこんなに下手くそなんだ と喚いたりしていた

私が まったく下手くそに見えないけど と言うと たまに叩かれたりした

結局彼女は 絵を描くことも大嫌いになって 遠くへ嫁いで行った

結婚生活は最悪だ 旦那が大嫌いだと 結婚後もずっと嘆いていたけど 犬を飼いだしてから犬の絵ばかり描くようになり 下手くそでも楽しく描けるようになればいいなと思う と言っていた

ずっと私と2人で楽しく東京で生活していればよかったじゃないか と文句が出そうになったけど 幸福よりも 既婚者 という肩書きがほしい女はたくさんいるんだろうなとわかった

楽しく描けるようになればいい という ことばと 画面越しの友人のえんぴつを握る右手を見て ふしぎな気持ちになった  少しだけ寂しかったけど、決して悪い感情ではなかった

 

絵が上手くなれば 女にモテるとおもった 自分だけの宗教を作りたかった

不純だから下手くそなんだな と落ち込んでいる姿を見て そういえば私も肩書きを振り翳して生きてるなと自覚した


夕子は 祇園遊郭に実在した遊女がモデルになっている


スナックへ行ったら ママのファンでギュウギュウになっていた 私はママのファンだったので ママと話したかったが そこにいた男性たちは私を質問責めにした

ママから沈黙の圧力を感じた 私は 急にこんなにも全てが上手くいかなくなるものなのかと思った

 

やりとりをしていたお店へ伺った

顔を見たことがなかったので その方は私へふつうの対応をしていたが 本を物色する私を見て もしかして あなたですか と気付いてくれた

こんな遠いところまで ほんとうに来てくれたんだ と言うから 私はほんとうに来ます と伝えた

満面の笑みで喜んでくれたその人を見て これからもずっと ほんとうに来る人 であり続けようと思った

短い髪がステキな女性だった


タコヤキパーティーをした

ほとんど全員知らない人だったけど 大阪の伝説のタコヤキ職人 らしかったから 思わず引き寄せられた

タコヤキよりも出会いの場 みたいな浮かれた空気に腹が立っていた 何よりタコヤキがとても不味かったのだ

私は本気でタコヤキをやりたかった

後日友人とお好み焼き屋へ行き 本気のタコヤキを焼いた

お気持ちだけではどうにもできないこともある

やっぱ銀だこ優勝

 

額縁の中に収まりたいと思うことがある

そこへ入ったら二度と動かず、そこへ行けばいつでも会えるものになりたいと思うことがあった

石になること、地面に染み込んで土地になること、遠くに見える山のひとつ(木が生えて斜面の、というより 遠くの山 )になること

そうして全部の最後 お祭りの時だけ外へ出て

御神輿で民衆に運ばれるものになる

予定


セブンイレブンのスキンヘッドのおじさん 寺の息子と判明しウケる

寺の息子がコンビニで稼いでいる どうしてなんて素敵なコンビニだろうか

給料日にホクホクしてらしたので お給料で何を買うんですか と聞くと カレー食べる と仰った


京都へ行くと お寺のお庭を見るのになにかとお金がかかる 私はお寺にあまり興味がない上に すこしライバル視しているのであまりそこへは立ち入らない 地元にうんざりしている友人に同意を求めると お賽銭はずむくせに それはさすがにおかしい と言った


だけど 私はお坊さんのことはかなり好きで お坊さんがいるとよく観察しているし お坊さんが履いている黒い革靴まで買って気に入ってずっと履いている

お坊さんは少年ジャンプも読むし カレーも食べるし 入院したりする

ーーさんのこともよく観察している

ーーさんはなぜか ペットボトルの水をストローで飲む ーーさんのカバンは独特の形をしているけれどポーチの中はマイメロや キキララで溢れていて iPhoneのケースもキラキラしている

それをにこやかに見せてくれたりするので 私は途端に好きになった

ふつうの女の子なのだ


京都線の中で突然となりの席のおじいさんに

あれ?ハハハ… うーん、認知症の検査 受けたほうがええのかなあ? と相談されたので そうですね しないより したほうが なんでも安心ですからね と助言をさせていただいた


文豪に似ているステキな方がいてちょっぴり仲良くなった

久しぶりに休憩中に会って すこし話すと  あんまり大きな声で言えないんだけど…と秘密を切り出されたので ドキドキして耳をダンボにすると おれ ディズニープリンセスに憧れてるんだ と打ち明けられた

いいじゃん とおもった


どんなに真夜中ても歌舞伎町で声をかけられたことがまったく無いので なぜなのか考えた

行きは目的地の方角一点を見つめ人を加害に行く時の顔

帰りは駅の方角一点を見つめ人を加害してきた後の顔をしていると うまくいくことに気がついた


中央線の中でネットフリックスのあたしンちを見ていた 三鷹からとなりに乗ってきた女性の視線をずっと感じていたが  中野手前あたりで遂に「いっしょに見ても良いですか」と聞かれた

断る理由が見つからなかったので「良いですよ」とイヤホンを片方貸し 彼女が新宿で下車するまでいっしょにあたしンちを見た

「ありがとうございました」と降りていく横顔を盗み見すると好みの女性だったので驚いた 途端に全部がひっくり返りうれしくなった


三鷹から乗ってきた女子高生の片方の子がSuicaを落としたので それ落ちたよ と指を指したら もう片方の女の子が こわぃ… と怯え出した  女の子がおりた後 なんでだ!!なんでだよ!! ぜんぜんこわくないのに! と訴えると 存在がこわいもん  と隣に座る友人に言われた

 

教師の方とお知り合いになりzoomで何度か会話した

顎を引いて堂々とした感じのままなぜかずっと姿勢を崩さないから本当に画面越しの講義のようでだんだんと背景も教壇の上かのように感じ、授業料の必要性を考え始めるほどだったが、部屋が暑かったのか会話しながらも唐突にエアコンを付け出した。そのリモコン操作がものすごい勢いなものだから、先生も暑さを感じたりする人間なんだと初めて気づき途端におもしろくなった。

あれから私は自分の恩師たちのことをよく思い出す。

その人と話していると当時は同じ人間なのだということすら考えたこともなかった「先生」という実は学生時代の記憶の中で最も謎めいていた存在の裏側を覗き見ているような気分になる