夕子ちゃんへ
お元気にしていますか。此方は今年の春も相変わらず桜が美しいです。
先日ね、ふと思い出していなり屋さんへ出かけたのですが、あの千本桜のところはものすごい人で賑わっていました。運動会の後に行ったお稲荷屋さん、覚えていますか。女将さんまだ元気にやってくれているんですよ。
そう この間、四条に住む友人に来世の占いをしてもらいました。例の囲碁教室で出会った友人です(僕はまだ通って頑張っていますよ。もう15年になります。)
その方によるとどうやら僕の来世は、生きている内に徳を積むようなよい行いをたくさんすれば伏見稲荷のきつね 、あまりしなかったら下鴨神社のたぬきと言われましたが、もう殆どたぬき決定な上、現在もたぬきとさほど変わりは無いらしいです。なんとも適当すぎる占いである。
ですが、人間に生まれないことには割と困ります。来世も会おうねと約束した人が数名いる。君もその1人だったね。気づいてもらえないのは少々困るけれど、まあ人間もたぬきもおもしろさにはさほど変わりはないか!と前向きに捉えてみることにしました。
ですが、一応ここに記しておきます。わかってはいたけれど夕子、きっともう会えないのです。そしてそれはおそらく来世もそうなのです。
すれ違えたとしても きっと僕はもうたぬきであり、記憶や思い出すらどこにも無いのだろう。
だけど伝えたかった、君との出会いは僕の人生の、奇跡であり、輝きそのものだったよ。
君と出会えた時のことを、君の顔を、声を、あの素晴らしい瞬間を僕はまるで昨日のことの様に覚えています。
もっと美味しいものをたくさん食べさせてあげたかった。
もっと楽しい場所へたくさん一緒に行きたかった。
もっとたくさん話したかった。
僕はきっと君のように東京に憧れ、君のように東京の夢を見て眠る、そんなたぬきになるのだと思います。
でもなるべく今からでも きつねになれるように努力してみるよ。1番頂上の辺りに煌々と後光を携え鎮座しているような。小さな君にまた笑って見上げて貰えるような そんな立派なきつねに。だから夕子、いつかきっと帰ってきておくれ。
これはそんな最終回のような手紙になった。悔しいけれど 、やっぱり最終回とは何にでも必ずやって来るものなのだね。そして人間の最終回とは いつも予期せず訪れるものなんだ。
恐らくこれが君への最後の手紙になります。
自由に、幸せに生きて下さい。あなたの幸福を心から願っています。
どんなに感謝してもし尽くせない。
夕子、僕の生に光をくれて本当にありがとう。
心から
じぃじより
PS、
今回のお手紙はガンバッてウィンドォーズで書いてみました(^O^) おじいちゃん遂にばあばのお手伝い無しでもひとりでコンピュータできるようになったで(^O^)※