知人の夢

 

 

先日 知人の夢をみた 存在をすっかり忘れたわけではないけど 久しぶりに姿を見た心地がした 知人は現実以上に生き生きとしていて 私のひじのあたりをつついたり摘んだり なんだか浮かれている様子だった 何も言われなかったけど お別れの挨拶に来たのだとわかった お肌もつやつやとして全く死にそうにないけど この人はもうすぐ遠くへ行くんだとわかった 悲しい気持ちと一緒に 会いに来てくれたことを嬉しく思った 雲に包まれたような場所を散歩しながらしばらく話をし 夢が終わった 現実で顔を合わせる時よりもずっと笑顔でいい時間を過ごした 私にとって知人は 少し話したことのあるその他大勢 といった括りだったけど 次に会ったときには あなたが主演のいい夢を見たんですよ と伝えてみるのもいいと思った そうしたら夢の中のようないい時間を過ごせるかもしれないと思った でも その後久々に会った知人の肌はそれほどつやつやはしていなかった 変に気まずくもじもじしながら なんだか久しぶりに顔見た と言われ あたりさわりのない会話をし 夢について触れること無く別れた 自分はそれを伝えたりしないだろうと最初からわかっていた 本人の知らないところでいろいろな感情が芽生えるのはおもしろい人間のふしぎだな 知り合いを勝手に殺すなよ(笑) と思いつつ 現実まで引き続きたのしめるいい夢だった 知人はもうすぐ外国へ移住する 知人はきっとお別れに来ないし 私もきっとお別れに行かない